都市部での土地の有効利用や鉄道事業者の事業開発の拡大に伴い、線路近接にホテルや住宅、音楽ホール等の静穏性の高い用途の建物が増えてきており、これらの計画に先立ち建物内の列車振動の影響による振動レベルや騒音レベル(主に固体音)を的確に予測し、対策手法を検討することが不可欠になります。

 この様なことから、線路近接建築物に対して列車走行に伴う振動・騒音を予測し、最適な対策工法により静かで快適な居住環境を設計する研究を行ってきました。列車振動を受ける建物形態は、様々であり、それぞれの特徴から振動騒音の大きさや予測手法が異なります。

(1)線路上空利用及び線路沿線建物の予測
  列車振動は、地盤を介して線路近傍の建物等に伝搬します。建設予定地の地盤振動測定を行った結果と建物諸元から振動特性を求め、室内の振動や固体音を前もって推定することが可能です。駅建物だけでなく沿線の一般建物にも適用可能で、多くの予測実績があります。

(2)高架下建物及び軌道を含む建物の予測
  列車が高架橋や建物内を走行するため、大きな振動が建物内に伝搬されます。類似した既存建物等で測定した振動や列車加振力に基づき、建設予定建物の振動伝搬性状を推定し、室内の振動や固体音を予測します。また、数値解析による予測手法も開発しています。

(3)トンネルに近接した建物の予測
  トンネルに近接して建物を建設したり、既設の建物に近接してトンネルを建設する場合に、地盤振動や建物内での振動・固体音を予測します。既往の測定結果から得られた振動伝搬特性を用いる簡易予測法や、有限要素法等の数値解析による詳細予測法により、状況に応じた適切な予測や対策法の提案を可能にしています。



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